TopMainImage

2008年5月 「背中がパンパン」

最近ようやく暖かな日が増えてきた。休みの日に短パンをはくのが好きな私にとっては嬉しいことだ。誰も私の毛脛など見たくはないだろうが、あの開放感がたまらなく好きなのだ。普段押さえられていた気持ちまでも解き放たれるような気がするのだ。たかが短パンぐらいで大げさなことをと思うかもしれないが、人間の心というものはほんの些細なことで左右されるものなのだ。特に繊細なハートを持つ私にとってはそうだ。休日にスーツを脱いで、カジュアルな服を着るだけでリラックスするという方は多いと思う。それは何も私だけではないだろう。着る物は人の気持ちに大きく作用するのだ。世の中には、私にとっての短パンのように身も心も軽くしてくれるものもあれば、心や身体にズシリと響くストレスの原因もたくさんあるのだ。

私の短パン姿が世の人々にどれだけストレスをかけているか不明だが、本人は至ってご機嫌だ。大学時代を南カリフォルニアで過ごした私にとって、短パンはいわばユニフォームのようなものだった。たまにジーンズをはくと、すごくお洒落をした気持ちになったものだ。そんなカジュアルな学生時代ではあったが、学校の授業はかなり厳しく勉強はたっぷりとさせられた。普通の大学の時と違って、カイロの大学は相当な詰め込みで、テストの数もおもわず眩暈がするほど多かった。ボストンでの普通の大学時代もそれなりに大変だと思っていたが、カイロの大学でのストレスはその比ではなかった。中間テストや期末テストの時期になると一気にたくさんのテストが押し寄せてくるので、そのマネジメントが大切になる。難しい科目、それほどでもない科目、簡単な科目を自分の中でランク付けする。難しい科目への割り当て時間は多くしておかないとだめだ。簡単な科目は過去の問題などを上手く収集しておけば、一夜漬けで充分な場合が多い。だけど、どの科目も結局は前の日の夜に詰め込むようにして暗記する羽目になる。

カイロの大学は4年近く掛かるし、その前に普通の大学にも通わなければならないので、かなり試験勉強に関しては熟達する。カイロの大学の最初の1年目までぐらいは、書いて覚えるという日本式の習慣で勉強していた。ところが勉強の量が半端ではないので書きすぎて右の肩甲骨の内側の筋肉がパンパンに腫れ上がり、右腕は重く痺れた状態になる。夜も寝られないぐらいの辛さだ。試験勉強でただでさえ睡眠時間が短いのに、その睡眠も寝苦しいものとなった。試験前は下を向いて本を読むことも多いので首も痛くて動かなくなる。本を目の高さに立てて勉強できる台はないかと探したが、卒業後にようやく見つけることが出来た。時すでに遅しというやつだ。首も背中もパンパンの状態で試験が終わるとキャンパス内にある学生用のクリニックへ駆け込み、上級生に治療をしてもらうのだった。こんな時は学生インターンの未熟な治療でもかなり効果があり、ゆっくりと眠ることが出来るようになったものだ。

やがて、体に関する知識も増えて、痛い思いを経験して工夫もするようになった。まず、書いて覚えるということはしなくなった。目で勉強するようになった。これはどういうことかというと、テスト勉強用のノートを作り、それを見て脳裏に焼き付けるのだ。そのためには印象的なノートを作るほうがいい。私は赤ペンで大きな文字ではっきりと書いていく。そして一ページにあまり欲張ってたくさん書かないようにするのだ。読むたびに違う色のペンでアンダーラインを引いていく。3回は最低でも試験前夜に目を通しながら覚えていく。5回読めればBは確実だ。10回読めればAだろう。しかし、いつも時間切れというか根性なしというか3回ぐらいしか読めないことが多かったような気がする。この勉強方法を始めて以来、効率は数段アップし試験勉強の時間も有効に使えたし、身体への負担も飛躍的に減った。そして、短時間の睡眠もしっかりと取れるようになったのだ。

当時、まだパソコンも高価で持っている学生も殆どいない時代だった。インターネットなど想像だにすることが出来ないのはもちろん、自分がコンピュータを使うようになるとは思いもしなかった。パソコンは趣味でオタクな人が使うものだと思っていたのだった。なんとのどかな時代だったのであろう。Eメールに追い立てられることもなく。インターネットの悪意に満ちた誹謗中傷やブログ炎上などもなかった。便利さと引き換えにストレスのタネを増やしている様な気がするのは私だけだろうか。世の中知らなくていいものはたくさんあるのに、余計なことまで知ってしまい憂鬱になっている人が多いのではないだろうか。

そうは云っても既に我々の生活からコンピュータは切り離せないものとなった。子供たちの宿題もインターネット無しでは出来ないものもあるし、学校とのコミュニケーションもインターネットだ。多くの方の仕事も一日中コンピュータに向かっているというものが主流になっている。特に、ここベイエリアでは土地柄、コンピュータに向かう時間が多い方の人口は多い。そして、私のクリニックでも学生時代の試験前の私のように背中や首がパンパンに張って辛くてどうしようもなくなって治療に来られる患者さんがたくさんいる。シリコンバレーシンドロームとでもいおうか、コンピュータに長時間向かい続けることによって起こる典型的な問題だ。

シリコンバレーの人は本当によく働く。日系企業の方など、昼間は現地の方々と、そして夜は日本の方々と仕事をするということで朝から夜中まで仕事をしている方が多い。夕食の時間に帰宅しても、その後に家のコンピュータで夜中まで仕事という方も多いようだ。一日十二時間以上働いていれば、それは誰でも身体がおかしくなる。私のクリニックの患者さんの多くがストレスと過労が明らかに身体に表れている。背中がパンパンなのだ。その上を行く背中がカチンカチンという方も珍しくない。こうなると体が重く倦怠感が表れ、めまいや頭痛、自律神経失調症などにも悩まされるようになる。次第に精神的にも鬱状態になる。そして、その状態に慣れて気がつかなくなる。それが積み重なって過労という状態に嵌ってしまうのである。そして、面白いほど共通するパターンが必ずまず否定という状態になることだ。自分の置かれた状態を認めないのだ。どんなに背中がパンパンでも肩がこっていようと、自分は大丈夫だ、肩コリなんか感じたことはないと云うのだ。本当に悪くなってどうしようもなくなってようやくクリニックにやってくる。それでも、こちらが診る前から、大したことないのだということを強調する。私の仕事の重要なパートは患者さんに、どれだけ危険な状態かを認識してもらうこともある。そうしないと、治療をそこそこに、仕事を優先させ又身体を悪くしてしまうのである。

日本でよく話題になる過労死などは、もし週に一回カイロの治療を受けていれば絶対に起こらないはずだ。いい仕事をしようと思ったら健康でなければならない。仕事を優先して健康をないがしろにしていれば、やがて仕事をまともに出来ない健康状態になってしまうだろう。今コンピュータに向かって仕事ばかりしている人たちの体と精神がだんだんおかしくなってきている。会話は減り、ストレスの発散の機会も減っている。背中がパンパンになったままキーボード叩き続ける人たちが、少しでも早くその危険性に気が付いてカイロの治療を初めて欲しいと願う。短パンが私の抑圧された精神的ストレスを解放してくれるように、カイロの治療が皆さんの身体や精神をストレスから解放してくれるはずである。

サンマテオ・クリニック
月:8:30AM~11:00AM
火:2:00PM~4:30PM
水:8:30AM~11:00AM
木:2:00PM~4:30PM(※)
金:8:30AM~11:00AM
土:12:00PM~1:00PM
日:休診
(※完全予約制)

サンノゼ・クリニック
月:12:00PM~6:30PM
火:9:00AM~11:30AM
水:12:00PM~6:30PM
木:休診
金:12:00PM~6:30PM
土:8:00AM~10:30AM
日:休診